2014年度 「礼節のルール25」 第3回

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2014年度 「礼節のルール25」 第3回

第3回は『配慮ができる客になる』です。10420758_998155736880117_1565184806895294529_n

未年がはじまって早くも1カ月が経とうとしています。お正月には、お客様をお出迎えしたり、自分がお客様となってよそのお宅へ伺ったりと、気遣いの多い時間を過ごしてきた方も多いのではないでしょうか?

さて、今日は、まず、心理学的なアプローチから「運」の正体に迫った『他人に配慮できる人は運がよい!』という論文を発表なさった京都大学大学院工学科の藤井聡教授の研究をご紹介したいと思います。

皆さん、配慮の範囲って考えた事ありましたか?

藤井教授は、「認知的焦点化理論」というものを用いて、人の「運」というものを研究しています。まず、「認知的焦点化理論」というのは、簡単に言えば、「人が心の奥底で何に焦点を当てているかに着目し、それらによって、その人の運の善し悪しまでもが決まってくるという考え方です。そして、それは、ある人が物事に向き合う時に、どのくらい他人のことを配慮することができるかという観点から人を分類しようとする試みでもあります。

一般的に、人は、家族→友人→知人→他人という順で心理的距離が遠くなる社会的関係性を持っています。一方、物事に対する際には、「現在」「2~3日先」「自分の将来」「社会の将来」と、思いを及ぼす時間軸には幅があります。この関係軸と時間軸が現在の自分より離れれば離れるほど、配慮範囲が広く大きいということになります。

結果、利己的で目先の損得にしか関心の向かない配慮範囲の狭い人は、ある程度までは効率よく成果を上げられるものの、目先のことにとらわれて協力的な人間関係が築けないために、総合的にみると幸福感の感じられない損失の多い人生となる。逆に、他人や遠い将来のことまで思いを馳せることのできる配慮範囲の広く大きい人は、良い人間関係を持続的に築けるため、自分の周囲に盤石なネットワークを作ることができ、周囲の人もこぞって助けてくれ、豊かな人生を送ることができるということです。

こう考えると、より広い範囲でより遠い未来までをも配慮できる人ほど運がいいというのは当たり前のように感じます。

自分には運が無い、だからビジネスも上手くいかないし、収入も低い、素敵なパートナーとの出会いもない・・・。人知れず、心の奥で、そんな風に嘆いていた人は、この考え方によれば、配慮の範囲を広く大きくすれば、運が良くなるということです。ビジネスも上手くいき、収入もアップし、貴方自身が輝くことができれば、新しい出会いも待っているかもしれません。

私達が、人に向かい合った際、それがお客様だろうが、友人や家族だろうが、その相手に十分配慮しているつもりだけれども、一生懸命になりすぎて、実はその背後にあるものまでが見えていなかったり、そこまで考えが及ばなかったりという、足元が見えていなかったという経験はないでしょうか。自分自身のキャパシティの狭さで、大切なことに気がつかなかったということは、今までなかったでしょうか。

どんな時でもどんな相手であっても、配慮・気遣いをすることができる人であれば、立場が変わった時にも、自ずと配慮・気遣いのできる人として、振る舞うことができるでしょう。まずは、己の器を確認しつつ、周囲への敬意を忘れずに、そして自分自身へも敬意を払うことのできる心を持ちましょう。それが、配慮のみならず、自分磨きにも繋がります。

2015年は、是非、貴方も、今まで以上に配慮ができる人となって、運気アップを心がけてみませんか。

参考図書『脳科学からみた「祈り」』潮出版社

山﨑 佐惠子, AICI FLC