2014年度 「礼節のルール25」 第15回

safe_image

2014年度 「礼節のルール25」 第15回

safe_image第15回は「最高のおもてなしをする」です。

 4月も半分が過ぎ、春風に誘われ、出かけるのが楽しい季節になってきました。まもなくGWを迎えるにあたり、旅行にでかける方、お客様をご自宅に招かれる方、皆様いろいろなご予定の中で、人と触れ合う時間をお持ちになると思います。そんな中、今日は「最高のおもてなし」について考えてみたいと思います。

 「おもてなし」という言葉を聞くと、2013年の国際オリンピック総会での日本代表のプレゼンテーションにおける、滝川クリステルさんのメッセージを思い出します。それほどインパクトがあったあのプレゼンテーションは、世界中に日本の「お・も・て・な・し」をアピールすることができた素晴らしい時間だったと感じています。だからこそ、流行語にもなった「おもてなし」をオリンピックブームの一つの流行りと捉えてしまうのではなく、改めて「おもてなし」という言葉を通して、相手に対する細やかな心配りについて考える時間にできればと思います。

 本書『礼節のルール』では、「客をもてなすというのは、その客の幸せを左右する責任をもつこと」ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン(『美味礼賛』著者)P131と書かれています。

 私自身、約15年前に受けた心に残るおもてなしによって、とても幸せな時間を過ごすことができた経験があります。それは、サービスに定評があるリゾートホテルに滞在した時のことです。その時は久しぶりの訪問、かつ初めて家族以外の友達と訪れたので、チェックインの時から大人として対応してもらえている事に喜びを感じたものでした。レストランでの夕食の際、あるスタッフが私が左利きである事に気がつき、それ以降、その点に配慮した対応をしてくれました。実は今でこそ、左利きの私を見るとお箸の向きやカトラリーに配慮してくださるスタッフはいますが、当時は、レストランでも左利きに気づいてもらえる事もなく、生活していても不便を感じることもあった中で、その事に気づいて対応してくれたことにとても感動しました。朝食時にも、スタッフが変わっているにもかかわらず、私の座席のセッティングがすでに左利き仕様になっておりました。そして、チェックアウトの際には、他のお客様が沢山いるなかで、私がチェックアウトするタイミングがわかっていたかのように、コードで繋がったボールペンなど全てが左利き用にセットされたフロントデスクに案内されました。私の左利きの為に、ここまでスタッフの方が総出で対応してくれたのは生まれて初めての経験であり、期待を遥かに超える対応に対して、自分の心が温かく幸せな気持ちになったのを今でも覚えています。さらに驚いたのは、このホテルを一年後に訪れた時もその情報が引き継がれていました。一人のお客様を大切にする姿勢に大きな感動を覚え、常に最善をつくそうとする姿から、単なるサービスとしてではなく、表裏のない気持ちで温かく出迎えてくれる最高のおもてなしの‘心’がぐっと伝わりました。

 このような対応は、常に目の前にいる人に興味を持ち、その人が何を望んでいるか、何に困っているのか、相手を察する心配りがなければ到底できることではありません。そして、この姿勢こそが、人間関係において心の交流を大切にする際に必要なことであるように思うのです。私たちは一人で生きていくことはできないからこそ、小さなことからでもおもてなしの心を重ねていくことによって、より人生が豊かに輝くことができる社会になればと願っております。

八木理恵, AICI FLC