2014年度 「礼節のルール25」 第24回

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2014年度 「礼節のルール25」 第24回

最終回は「人の空間を尊重する」です。safe_image

皆さんは、「パーソナル・スペース」という言葉をご存じでしょうか。アメリカの文化人類学者E・Tホール教授が、人間関係の空間を、以下のように4つに分けたことでよく知られています。

1.密接距離(〜45cm) 恋人、夫婦の距離
2.個人距離(45cm~1.2m) 友人などの親しい間柄の距離
3.社交距離(1.2~3.6m)仕事上など社会的な場面での距離
4.公的距離(3.6m~)講演など公的機会の距離
(数値は「図解でわかる心理学のすべて」深堀元文著 日本実業出版2003年刊より引用)

これらのパーソナル・スペースを意識し、心地よい空間を保つようお互いが配慮することで、円滑なコミュニケーションにつながるというものです。確かに、見知らぬ人が、いきなり、自分の密接距離に入り込んできたとしたら、とっさに身の危険を感じたり、ときには、押しつけがましく感じることさえあるでしょう。また、反対に、いつまでたっても遠くに離れた距離で会話をしていると、親近感が湧いてこないものです。

これらの人との空間は、相手を尊重する意味で、単なる距離だけではなく、言葉遣いにも共通しています。敬語と言葉遣いは、ビジネスマナーの定番プログラムになっているように、様々な立場、職位、年齢差がある社会や組織の中で、気持ちのよい人間関係を築くために、相手との適切な距離感を保つために不可欠だからです。

例えば、一通のメールをだすにしても、外部と社内、他部署と身内、身内同士での立場、職位の違いによって、敬称のつけ方や名前を並べる順番など、言葉遣いが変ってきます。そして、相手は書かれた言葉遣いから文脈を読み取り、どれだけ敬意を持って接しているか、ビジネスキャリアがどのくらいあるか、社会的良識を持っているかなど、その人の活動範囲の幅や、人間性さえも推し量っています。人と直接会う機会が少なくなったネット社会では、言葉遣いが今まで以上に重要度を増しているといえるでしょう。

そういえば、最近、メール文でも、次のような言葉遣いを目にします。「こちらでよろしかったでしょうか」「こちらが資料になります」「いただけると有難いです」「お願いできると助かります」などです。このような誤った言葉遣い、目下や仲間への口語的な表現で使われる言い回しは、目上の方や対外的に使用する場合には、相応しい表現に工夫しましょう。

言葉遣いは、「心遣い」といわれますが、家族や友人、親しい仲間との間でも、言葉遣いへの配慮が欠けると、知らないうちに相手を不愉快な気分にさせてしまいます。また、信頼関係が揺らいでくることにもなりかねません。相手との距離感を上手に保ち、適切な言葉遣いを選択して、よりよい人間関係を育んでいきたいと思います。

【大森ひとみ, AICI CIM】

 


最後のご挨拶文
シビリティ・コミッティーメンバーが、身近な目線で綴った礼節のルール。
皆様、いかがでしたでしょうか。

メンバーはもちろん、より多くの方にこのブログを目にしていただき、お互いの生活の中で、シビリティの大切さを思い起こしていただければと思います。ネット社会がめまぐるしく発達し、個々の発信力が急速に高まる中、社会や人、自然への配慮、敬意、道徳、良識、知見、責任といった、シビリティの大切さが、今後ますます求められてきます。

日本人がルーツとして持ち、誇りとする礼節の心。相手への敬意や協調から生まれる思いやりは、多くの人々を幸せにし、心を支え合い、明日を笑顔で明るく生きるための糧となることでしょう。豊かな人生を送るために、そして、世界平和のためにも、私たちの礼節のルールが、少しでもお役に立てることを心から祈りつつ、筆を置くことにいたします。

皆様、最後までお読みいただきまして、本当にありがとうございました。

大森ひとみ, AICI CIM